NEWS NO.84(2026年度)
本学獣医学研究科・獣医学類の食品衛生学ユニットの学生が受賞「北海道獣医師会で奨励賞」「細菌学会北海道支部会で優秀賞」を受賞
昨年度の北海道獣医師会学会で、大学院1年生の野田あするさんが奨励賞を受け、2026年8月30日に北海道獣医師会学会で表彰を受けました。また、2026年8月29日に開催された細菌学会北海道支部会で、6年生の渡邉智美さんが優秀賞を受賞しました。
【北海道獣医師会学会】
本大会は、北海道獣医師会の主催によるもので、獣医学術の調査研究に関する発表及び討論を通じて、産業動物・小動物・公衆衛生の各分野における獣医療技術の向上と、次世代を担う獣医師及び獣医療従事者の育成を図る目的で、毎年開催されているものです。
【受賞演題】
北海道の野生魚ウグイを用いた河川環境中の薬剤耐性Escherichia coliの検出
【研究概要】
抗菌薬に耐性を持つ薬剤耐性菌は世界的に重要な公衆衛生課題です。薬剤耐性菌の拡散は、ヒト・動物とそれらを取り巻く環境がお互いに影響し合うことから、対策には分野横断的に捉えるワンヘルスの考え方が重要となります。一方で、ヒト・動物分野での薬剤耐性モニタリングはある程度整備されているものの、環境中における薬剤耐性菌の拡散実態はほとんど解明されていないのが現状です。そこで、本研究は水圏環境の野生魚に着目し、北海道に幅広く生息する野生魚ウグイを捕獲し、体内に薬剤耐性菌を保持しているか調査することで、環境中の薬剤耐性モニタリングへの応用可能性を検討しました。
【受賞コメント】野田あするさん
「このような名誉な賞を頂き、大変喜ばしく思います。御指導いただいた臼井先生、福田先生には、自分の興味を尊重して頂き、また終始に亘り丁寧なご助言を頂き、楽しんで研究を進めることができました。大学院に進学したので、引き続き楽しみながら研究を続けたいと思っています。」
【受賞にあたっての指導教員からのコメント】臼井優教授・福田昭准教授
この度は栄えある賞をいただき、指導教員として大変嬉しく思います。本研究は、ヒト・動物領域に比べて調査が遅れている環境中の薬剤耐性菌の実態解明に、野生魚という新たな切り口から挑んだ点に大きな意義があります。野田さんは、趣味の釣りを入り口にして、研究テーマを展開してくれました。そして、河川でのウグイの捕獲から菌の分離・解析まで根気強く取り組み、着実にデータを積み重ねてくれました。ワンヘルスの観点から環境モニタリングの可能性を示した今回の成果は、今後の薬剤耐性菌対策研究の発展にもつながるものと期待しています。
【細菌学会北海道支部会】
本大会は、日本細菌学会北海道支部会の主催によるもので、細菌学・微生物学に関する調査研究の発表及び討論を通じて、道内における細菌学研究の振興と、次世代を担う若手研究者の育成を図る目的で、毎年開催されています。
【受賞演題】
ApoH 結合磁気ビーズを⽤いた⾷品からの迅速な 細菌濃縮分離法の開発
【研究概要】
この研究は、ApoH結合磁気ビーズを用いて、食品中の細菌を迅速に濃縮・分離する方法を開発しました。通常、食品中に低濃度で存在する細菌を検出するには、増菌培養によって細菌を増やす必要がありますが、これには時間がかかります。そこで、幅広い種類の細菌を捕捉する性質を持つApoH結合磁気ビーズを用いて、増菌培養を行わずに食品中の低濃度の細菌を濃縮し、生菌を検出できるか検討しました。本研究により、食中毒細菌をより迅速に検出するための新たな前処理法としての活用が期待されます。
【受賞コメント】渡邉智美さん
論文紹介で何気なく発表したことが、まさかここまで大きなテーマにつながるとは思っていませんでした。ここまで研究を続けてこられたのは、先生方をはじめ、食品衛生学ユニットの仲間に支えていただいたおかげです。本当に感謝しています。
今回の受賞を励みに、これからもさらに研究に取り組み、まだまだ挑戦を続けていきたいと思います。
【受賞にあたっての指導教員からのコメント】臼井優教授・福田昭准教授
今回の受賞、指導教員として大変嬉しく思います。本研究は、食中毒細菌の迅速検出という食品衛生上の重要な課題に対し、ApoH結合磁気ビーズという新しいアプローチで挑んだものです。渡邉さんは、論文紹介での気づきを自らのテーマへと発展させ、増菌培養に頼らない前処理法の確立に向けて地道に実験を重ねてくれました。食品からの迅速な細菌検出は現場でのニーズも高く、今後の応用展開が期待される研究です。これからも、新たな挑戦を続けてくれることを楽しみにしています。
臼井優教授(左)渡邉智美さん(左から2人目)野田あするさん(右から2人目)福田昭准教授(右)
【関連】
◆獣医疫学会
https://www.hokkaido-juishikai.jp/gakkai/
◆日本最近学会北海道支部
http://www.jsb-hokkaido.org/meeting/
◆獣医学類 臼井 優 教授(食品衛生学ユニット)
https://www.rakuno.ac.jp/teacher/9437.html
◆獣医学類 福田 昭 教授(食品衛生学ユニット)
https://www.rakuno.ac.jp/teacher/9460.html
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