今回の一般質問は、将来人口推計と歳入確保のための計画策定について取り上げました。
1. 将来人口推計について
(1)国立社会保障・人口問題研究所と市の推計の差異について
岡:国立社会保障・人口問題研究所(社人研)による将来人口推計と、市の独自推計との差異はどういった理由によるものか?
企画政策部長:2045年の人口は、社人研による推計では9万9,897人と推計されており、市による推計では6,679人少ない9万3,218人となっている。差異の主な要因は、社人研が、将来の生残率をはじめ、移動率、子ども女性比などに独自の仮定値を設定するコーホート要因法で推計しているのに対し、市の推計は、主に2005年以降の人口減少の動きを平均でとらえるコーホート変化率法で行っている。
そのほかにも、社人研の推計は、全ての市区町村の推計値の合計が、全国の推計人口と一致するよう、各市区町村の推計人口に補正を加えていることなども要因の一つと考えている。
(2)将来の外国人人口の増加について
岡:社人研推計は、2020年現在、全国で275万人、総人口の2.2%となっている外国人割合が、今後も増加を続け、2050年には729万人、総人口の7.0%となり、2066年には総人口の10%を超えると推計されている。
仮に2050年に、江別市においても、全国平均と同じく総人口の7%の外国人が居住しているとすると、6610人もの外国人が江別で暮らすことになる時代がやってくるということである。
地域の活力を維持していくため、積極的に外国人を受け入れていく考えはあるか?
市長:外国人の受入れについては、人手不足とは関係なく、外国人の受入れを進めたいと考えており、受け入れる上での課題については、自治体や民間支援団体での人材不足のほか、支援ノウハウが蓄積していないことがあげられる。
今後も外国人の増加を見込んでいることや、これから本格的な人口減少社会を迎える中で、外国人材に頼る部分がさらに広がっていくと考えていることから、外国人に対する相談体制や支援体制の充実に努めるとともに、生活上の様々な課題の解決に向けて、関係団体と連携、協力するなどして取り組んでいきたい。
(3)人口の実績値が推計値を上回る要因について
岡:市の将来人口推計に変化を生じさせる要因は、どのようなものがあると考えているか?
市長:将来推計人口に対する実際の人口の変動は、子育て世代に選ばれているという状況から見て、大規模な宅地造成だけではなく、子育て政策により、子育て世代がどれくらい転入してくるかということにも影響を受けるものと考えている。
(4)子育て世代に選ばれるまちとなるための効果的な政策について
岡:子育て世代に選ばれるという観点から、どのような政策が効果的と考えているか?
市長:子育て世代から住み良いまちとして選ばれ続けるために、子育ての不安を軽減するための相談支援等をはじめ、子ども医療費の助成や、放課後児童クラブの拡充等により、保護者の負担軽減を図るほか、時代の流れに柔軟に対応した取組を着実に行っていく必要があると考えている。
これらの政策を進めるに当たっては、特定の取組に絞って力を入れるよりも、広く子どもや子育て世代が対象となる取組を着実に行っていく必要があると考えている。
また、即時的な効果という視点では、以前行った住宅取得支援事業などの住宅政策も有効であると考えているが、現在の子育て世代に選ばれているという当市の実態をとらえて、まずは、子育て支援や教育の充実に力を入れることにより、子どもや子育て世代にとって、さらに魅力的なまちを目指してまいりたいと考えている。
2. 歳入確保のための計画策定について
(1)歳入増に効果のある要因の分析について
岡:市において、何が増えると、どの税収が、どの位あがるのかということの分析を行ってみることが必要ではないか?
市長:概算ではあるが、市民税では、夫婦と子ども1人の3人世帯が転入した場合、年間約12万円程度の税収が見込まれる。また、固定資産税については、100?の住宅1棟が新築されると、平均で年間約10万円程度、物流施設の場合ですと、1,000?の倉庫で年間約100万円程度の税収が見込まれる。
市では、6年連続で年少人口転入超過数が全国20位以内になるなど、子育て世代の転入が順調に推移していることが、個人市民税や固定資産税の増加など、コロナ禍や物価高騰においても堅調な市税収入を支えていると認識している。
(2)歳入増の目標と具体的な取り組みを含んだ計画策定について
岡:どのような取組でどの税収をどの程度上げるのかということをPDCAサイクルとして実施していく必要があるのではないか?
市長:市税等は、景気や給与水準の動向や、建築単価や地価など社会環境の影響を大きく受けることから、将来の歳入の見込みを計画として策定することはなじまないものと考えているが、自主財源の確保に向けて、目的意識をもって取り組むことは重要であることから、今後は、転入により期待される効果等についても中期財政見通しに反映することなどにより、職員の意識付けや共有に取り組んでいきたい。