名古屋城と言えば金の鯱鉾(しゃちほこ)の輝く天守閣が思い浮かびますが、「ぜったいに見るべきは再建された本丸御殿ですよ」と名古屋城観光ガイドボランティアさんにおすすめいただきました。
名古屋城観光ガイドボランティアに聞いた名古屋城の見どころと出会えたらラッキーな縁起ものとは?
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本丸御殿とは
本丸御殿(ほんまるごてん)とは、日本の城において敷地内に設けられることがあった屋敷のことで、城主や藩主の住まいとして日常生活を送ったり、台所として使ったり、あるいは会見の場であったり政務を行う政庁としても使われました。
城郭のなかでも中核にあたる場所を本丸と言い、本丸には本丸御殿の他に天守などがあるが、平時は天守ではなく本丸御殿を使うのが一般的だったそうです。
現存しているのは、埼玉県の川越城と高知県の高知城のみで、愛知県の名古屋城、熊本県の熊本城は復元されたものです。
名古屋城の本丸御殿の歴史
名古屋城の本丸御殿は、尾張藩主の住居、さらに藩の政庁として武家風書院造をベースに狩野貞信や狩野探幽などの絵師による床の間絵や襖絵などが飾られ、1615(慶長20)年に完成しました。その絢爛豪華な美しさは、江戸時代の先端技術を注いだ城郭御殿の最高傑作とたたえられるほど。1930(昭和5)年に天守とともに国宝第一号に指定されます。
1945(昭和20)年、名古屋大空襲により天守や本丸御殿など主要建物の多くを焼失しましたが、国宝に指定されていた名古屋城は襖や障子などを取り外し移動してあったため、一部の装飾品は守られていたのだとガイドさんが教えてくれました。
名古屋城は城郭の史料が多く残されており、その史料をもとに名古屋市がおよそ10年の歳月と総工費約130億円をかけ、当時の建物を忠実に復元し、2018年よりお披露目されています。
入場料・見学所要時間・写真撮影注意事項
天守閣が木造復元工事の遅れや耐震性の問題で閉鎖中のため、現在の見どころはなんといっても絢爛豪華な本丸御殿。
本丸御殿には、追加料金なし入場料のみでで見学できます。見学にかかる所要時間は、比較的人が少ない日だったので待ち時間もなく約1時間ほどと説明されました。
本丸御殿への入場は土足厳禁で、靴下を履いていない場合は入り口でスリッパに履き替えるようにうながされます。下駄箱とロッカーがあり、100円が戻ってくるタイプのロッカーなので、リュックをロッカーに預けることができて身軽に見学できてよかったです。
本丸御殿はすべて撮影O Kですが、フラッシュの使用と三脚の使用は禁止です。
本丸御殿の障壁画や装飾の見どころ
玄関では、まず虎や豹を描いた屏風(復元)に出迎えられます。猛獣の姿で徳川の権威や将軍の強さを示しているのだそうです。豹と虎が一緒に描かれているのは、当時は豹とは虎のメスだと思われていたためだとガイドさんが教えてくれました。
「竹林豹虎図(ちくりんひょうこず)」が描かれた部屋は、従者が上の者を待つ場所で、座ると虎や豹と同じ目の高さになり客人に威圧感を与える工夫がしてあるのだとか。世は戦国時代・・・敵か味方か?ぼんやりなんてしてられない時代だったのだなと時代劇のセットに紛れ込んだような、復元されてまだ新しいからこそ当時にタイムスリップしたような感覚があります。
こちらは家臣が控えた場所で、障壁画に描かれているのは外国に生息する「ジャコウネコ(麝香猫)」
日本には生息せず、高貴な動物と考えられていたジャコウネコを描くことにより、知識の広さをアピールしているのだそうです。描かれる絵の一つひとつに意味や狙いが込められているのだと教えてもらいながら観ると、奥深く楽しむことができました。
私が個人的に好きだなと思ったお部屋がこちら。この部屋は徳川義直に嫁入りに来た紀州・浅野家の春姫の心をなぐさめるために故郷和歌山の風俗・景趣が描かれています。綱引きや曲芸をしていたり楽しげな人々の様子が和みました。
障壁画だけでなく当時の構造や装飾を完全再現しており、部屋の格式によって天井や欄間、装飾、障壁画などの作りがどんどん変わっていく様が面白く、廊下から部屋の中を覗き込んで天井まで見るなどしました。
寝る時にこの天井を見られるなんて、美術館の中に住んでるみたいですよね
廊下や障子も注意深く見ると、芸術的な装飾を見ることができるので驚きます。
彫刻欄間「笹と椿に山鵲(さんじゃく)」は本丸御殿の見どころの一つです。山鵲は中国に実在する鳥だそうで、中国版「幸せを呼ぶ青い鳥」のようです。天下泰平の願いが込められているそうです。
両面に山鵲の姿が彫られていますが、鳥の数を違えてどちら側から見ても表となるようにデザインしているそうです。これもガイドさんが一緒じゃなかったら振り返って裏は見なかったと思いました。
400年もの前に徳川家の威厳を知らしめすために当時の最先端技術を持ってつくられたということですが、現在でも十分に圧倒される空間でした。
本丸御殿の開園時間
営業時間:午前9時~午後4時30分(入場は午後4時まで)
休園日:12月29日~31日、1月1日
名古屋城 場所・アクセス・駐車場
開園時間 9:00~16:30(本丸御殿・西南隅櫓への入場は16:00まで)
休園日 12月29~31日、1月1日(催事等により変更となる場合があり)
料金 大人500円、中学生以下無料
住所 愛知県名古屋市中区本丸1-1
アクセス
【電車】地下鉄名城線 「市役所」 下車 7番出口より徒歩約5分
【バス】なごや観光ルートバス「メーグル」の「名古屋城」バス停よりすぐ
駐車場 有料駐車場2か所あり(正門前、東門前)
電話052-231-1700(名古屋市観光文化交流局名古屋城総合事務所)
公式Webページ:特別史跡名古屋城